子育てには何かとお金がかかります。
中でも教育費は長期間にわたり多額の費用がかかるので、「どうやって貯めようか」と悩む方も多いことでしょう。学資保険は教育費の貯蓄方法としては、最もポピュラーなものの1つです。
「学資保険に入ってさえおけばとりあえず安心」という方もいるのではないでしょうか?しかし、学資保険は選び方を間違えると損になることもあります。
今回は、学資保険の概要からメリット・デメリットを説明したうえで、必要な人、不必要な人の違いを解説します。
目次
学資保険の概要と種類
はじめに、学資保険の概要や種類を詳しく解説していきます。生命保険をはじめとする他の保険との違いはなんでしょうか
学資保険は貯蓄型保険
学資保険は、「貯蓄型」と呼ばれる保険です。子供が契約時に決めた年齢になるまで保険金を払い続ければ、満期保険金が支払われます。商品によっては中学や高校に入学する年齢になると「お祝い金」が支払われるものもあり、定額貯金をするより利率がよくお得です。
契約者に万が一のことがあれば、支払いが免除される
学資保険の多くは契約者に万が一のことがあれば、それ以降の支払いが免除されます。子供が大学を卒業するまで、最低でも22年がかかります。親が元気であることが一番ですが、いつ、どんなことがあるかわかりません。
学資保険をかけておけば親に万が一のことがあって収入が途絶えたり減ったりしても、教育資金を確保することができます。また、子供に万が一のことがあった場合は、今までかけた保険金が「死亡保険金」などという形で戻ってきます。
学資保険の種類は大きく分けて2つ
学資保険の種類は大きく分けて2つあります。1つは純粋に教育資金を貯めることだけに特化した商品です。これは他に保障が付かない代わりに月々の保険料を安くすませることができます。もう1つは、医療保障や入院保障などほかの保障もついた商品です。月々の保険料は高くなりますが、複数の保険に入らずにすむので管理が楽になります。
学資保険のメリット

では、学資保険に加入するとどのようなメリットがあるのでしょうか? 以下に代表例を解説していきます。
定期預金よりもお金を貯めやすい
現在は超低金利時代です。銀行にお金を預けてもほとんど増えません。一方学資保険の中にはお祝い金や満期保険金を合わせると、払い込んだ金額より多く戻ってくる商品もたくさんあります。保険の貯蓄性は「返戻率」で表すことができます。たとえば、返戻率が10%ならば払った保険金+10%が返ってくると考えましょう。定期預金の利息より高いです。また、保険は貯金よりも解約が大変なので半ば強制的に教育資金を貯めることができます。
親にもしものことがあっても安心
親にもしものことがあっても、学資保険をかけていれば教育資金を確保しておくことができます。死亡だけでなく、ガンなど今までと同じ生活をすることが難しくなる病気でも適用されるので、安心です。
オプションをつけることもできる
学資保険の中には、「特約」という形で医療保障や損害保障をつけることもできます。月々の保険料は上がりますが、複数の保険に入るよりお得というケースも多いです。

学資保険のデメリット

今度は、学資保険のデメリットを解説します。どのようなものがあるのでしょうか?
加入できる期間が短い
学資保険は「教育資金を貯めることを目的とした貯蓄型保険」という性質上、加入できる期間が短くなっています。商品によっては子供が生まれる前から加入できる一方、加入できる年齢の上限は6才[一部の商品は10才)です。出産を機にライフスタイルが大きく変わるという方は珍しくありません。収入や出費が変わるので、「保険料を払い続けることができるか不安」と悩むケースもあります。また、「子供にぴったりの商品が出たと思ったら、加入できる時期が過ぎていた」ということもあるでしょう。
返戻率が低下し続けている
2017年に金融庁が「標準利率」を1%から0.25%に引き下げてから、学資保険の返戻率は低下し続けています。商品によっては100%を割ってしまうものも出てきました。これでは、学資保険のメリットがほとんどなくなります。その一方で「短期払い」の商品が増えています。これは、保険金を払う期間が短いほど返戻率が高くなる商品です。支払いが短期間で終わるのはメリットですが、月々の保険料が上がるというデメリットもあります。
途中で解約すると全額が戻ってこない
学資保険に限らないことですが、保険を途中で解約すると全額は戻ってきません。何らかの事情で保険料を払えなくなった場合などは、損をする可能性があります。
学資保険が必要な人、不要の人の違いを解説
ここまで記事を読まれたら、学資保険の概要やメリット・デメリットはおわかりいただけたことでしょう。ここでは、これまでの解説をふまえ、学資保険が必要な人と不要の人の違いを解説します。
学資保険への加入が必要な人の特徴
以下のような条件に当てはまる方は、学資保険への加入がおすすめです。
・長期間の積み立て預金が苦手
・子供が0~2才
・将来の安心材料を増やしたい
・家計に無理のなく返戻率のよい商品を見つけた
たとえば、父母が入っている生命保険の会社が学資保険も取り扱っており、両方に加入することで保険料がお得になるケースもあります。また、祖父母が保険金を一括払いしてくれる場合もあるでしょう。メリットが少なくなったと言われる学資保険ですが、親に万が一のことがあったときの保証になるというメリットは大きいです。
無理に学資保険へ加入する必要がない人の特徴
全額教育費に回せる貯蓄がすでにある方や、ほかの方法で教育費を貯める手段ができる方は、無理に学資保険へ加入する必要はありません。近年は、積み立てNISA、外貨預金など定期預金より利回りがよくローリスクの投資が増えてきました。学資保険の代わりに投資をする方も多いです。しかし、ローリスクとはいえ投資にはリスクがあります。学資保険を使わずに教育資金を貯めようとする場合は貯金と投資を併用するなど、リスクを抑える努力もしておきましょう。
学資保険を選ぶポイント

最後に、学資保険を選ぶポイントを解説します。ぜひ参考にしてください。
返戻率
学資保険は貯金の代わりです。最低でも100%以上の返戻率のある商品を選びましょう。返戻率は、<受取総額÷払込総額×100>で算出することができます。
満期の時期
子供にかかる学費のうち、最も高額なのが大学の学費です。子供が大学に入学する年に満期になるように保険を契約した方も多いでしょう。しかし、子供の18才になるときに満期にしてしまうと誕生日が4月以降だと、大学に入学するときはまだ保険金が満期にならない、ということになります。満期の時期が「お子様が高校を卒業する年」などの商品にするといいでしょう。
保障の種類
学資の積み立て以外に、医療保障や障害保障をつけると掛け金が高くなります。一度自分の入っている保険を見直し、重複がないかどうか確認して学資保険を選びましょう。また、「特約」が多く、シンプルな学資保険にオプションでいろいろと付けられる商品の方がカスタマイズしやすいです。
まとめ
今回は、学資保険の概要、メリット・デメリット、学資保険が必要な人の特徴など、学資保険に関することをいろいろと解説しました。投資をすすめるサイトでは、「学資保険より投資を」という記事も目立ちます。しかし、返戻率が低くなっているとはいえ、親に万が一のことがあれば保険料を払い込まなくても満期保険金が受け取れる学資保険のメリットは大きいです。無理に加入する必要はありませんが、加入しない場合は子供の教育費を貯める手段を複数確保しておくのがおすすめです。